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214話 人望

last update publish date: 2026-08-06 13:07:17

遼大の手を取る。

「大丈夫よ、今、私はあなたと一緒に居るんだから」

そう言うと遼大は私を抱き締めて、震える体で私に言う。

「本当に良かった……」

何を犠牲にしても私をも守るだろうと賀神さんがそう言ったのは、決して大袈裟じゃ無かったという事を実感して、私は少し微笑む。

「大丈夫よ、大丈夫」

まるで幼い子供に言い聞かせるように私は遼大の頭を撫でてそう言う。

そうしながらも私は考えていた。

愛沢くるみが私に成り代わりたいと、以前はそう考えていた。そしてそれはきっと間違いじゃない。でもだとするならば、どうして私が打ちのめされていた七年前の颯太の時も、五年前の湊との離婚の時も私を生かしたんだろう。

あの当時、私は愛沢くるみの悪意に気付きもしていなかった。いわば無防備だった。無防備な相手なのだから、愛沢くるみの思うように出来た筈だ。

けれど愛沢くるみは私の息の根を止めるような事まではしなかった。

私に死なれたら困る……?

私にどうしても見せつけたい?

それなのに遺産放棄誓約書まで用意していた……。

おそらくは最終的には私を殺す事も視野には入れていたんだろう。それが“その時”じゃ無かったというだけ
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